近年、健康への関心が高まるとともにスポーツ施設が普及し、誰もが気軽にスポーツを楽しめるようになりました。しかし、それによりスポーツによる障害が増えていることも事実です。それぞれのスポーツには特徴的な障害があり、負担のかかりやすい部位により、テニス肘、野球肘、サッカー膝、ランニング膝、水泳肩などと呼ばれています。
これらは使い過ぎが原因です。(=over use syndrome)。特に中高年の方は、筋力の低下にも関わらず運動前のストレッチを十分におこなわなかったり、勝負にこだわるあまりつい無理をしてしまうことが多いようです。これらのスポーツ障害は、とりあえずは2週間程度休ませることです。それでも痛みがあれば、早めに病院で適切な処置を受けましょう。
しかしスポーツ障害の中には、元の原因が治っているにもかかわらず、なかなか痛みの取れないものがあります。最近、痛みに関連した研究で面白いことがわかってきました。痛みには、『痛み記憶』というのもがあるというのです。痛みの刺激が長く続くと脊髄(せきずい)の中で痛みの記憶を残す遺伝子が作られ、これにより元の原因が治っていても、脳がいつまでも痛いと感じてしまうらしい
のです。スポーツの痛みに限らず、急性の痛みが、慢性の痛みへとかわっていく原因の一つと考えられています。
これを予防するには、痛みがあればすぐに痛みを取り除き、いつまでも痛みを我慢しないことです。原因が何であれ、慢性の痛みになってしまった場合には、局所的な治療では治り難くなってしまいます。こんなときは、血液の流れを改善し、痛みの刺激を断ち切ることができる、『神経ブロック』という注射をおすすめします。
いずれにせよスポーツに親しむ中高年の方は、日常から筋力を含めた基礎体力を養い、あくまで健康のためということを念頭において、『より強く、より速く、より高く』ではなく、『より楽しく、より健康に、より安全に』を心掛けて下さい。
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